安全で安定した食料保障をめざして様変わりしている港
いま、港は大きく様変わりしています。神戸港をはじめ大阪港、名古屋港など主要な港は、鉄条網のフェンスで覆われています。市民に開かれた港から市民が近寄れない港に変化しています。

2004年7月から、いわゆるソーラス条約の改定ということで、テロ対策を理由として持ち込まれソーラス条約というのは、イギリスの豪華客船タイタニック号の海難事故を契機に、海難事故から人命を救済しようということで1914年に締結された国際条約です。

これが2004年に改定されて、特にアメリカの船舶が出入りする岸壁のガードが厳しくなっています。市民が近づけないだけでなく、船内で働く労働者も、身分を示すカードがなければ出入りができません。

港のいたるところに監視カメラが設置されています。さらに、アメリカの税関職員が日本に派遣されています。東京、横浜、名古屋、神戸の港に、国家安全保障省税関国境保護局といういかめしい名前の役所から職員が派遣されて、日米合同で、アメリカ向けのコンテナを検査しています。「合同」といっても、実際はアメリカの情報のもとで、アメリカ税関職員の指示のもとで日本の税関職員が検査をするのです。こんな考えられないようなことが実施されています。

さらに2003年から、米国バイオテロ法がアメリカで施行されました。これによって、アメリカ向けの食品については、最終加工地、輸送、梱包、蔵置管理すべての施設を前もってアメリカ食品医薬品局(FDA)に登録しなければならなくなりました。もしこれに違反すると、アメリカでの通関は拒否されるだけではなく、刑事や民事事件として訴追の対象にもされます。

一方でアメリカは、BSE汚染の疑いがある牛肉を検査もなしで輸入再開をさせておいて、自国に輸入する食品については厳しい規制を加えています。これが現状です。ところがこうしたことは、日本ではほとんど紹介されていません。
このように港はいま、市民の目が届かない、市民が近寄れない港へと大きく様変わりしていることに、ぜひ注意を払っていただきたいと思います。

消費者に伝わらない食べ物情報
輸入現場である神戸港を訪れる人たちが後を絶ちません。まず、輸入食品の量と種類の多さに驚きます。次に、自給率の低さと国民の食料や日本の農業に及ぼしている影響について驚きます。

以前は、アメリカやアフリカからの長時間の輸送は、リスクが高くて輸入が困難であったレモンやオレンジ、グレープフルーツなどの柑橘類の輸入が容易にできるようになりました。その理由は、輸送技術の進歩もありますが、カビ防止剤の使用が認められたことにあります。発癌性のあるOPP(オルトフェニルフェノール)や催奇形性のあるTBZ(チアベンダゾール)あるいはイマザリルなどの使用が認められ、輸送が可能になったことです。

中国産輸入冷凍ホウレン草の残留農薬が大きな社会問題になりました。国内では、主に白蟻の駆除剤に使われていた殺虫剤のクロルピリホスが検出されたのですから、消費者には不安を与えました。その原因が、冷凍ホウレン草は一度ブランチング(80℃くらいの湯にさっと通す)して冷凍したものなので、加工食品とみなされ、当時は残留農薬基準が設定されていませんでした。当時、残留基準のないものは検査対象にならないと、検査がされていなかったことに原因があります。驚くべき実態です。

このように、食べ物に関する情報は、ほとんど消費者に伝わってきません。食を扱う企業のモラル低下が障害のひとつになっています。国や自治体も正確に積極的に国民に知らせる姿勢に欠けています。

また、食品企業で、食の安全や企業モラル向上をめざして努力する良心的な労働者や、港で水際チェック機能の担い手としてまじめに働く労働者へのいじめや嫌がらせを止めさせることも社会的な課題です。
そして、食料自給率を向上させる取り組みは、憲法9条を守る取り組みでもあります。

日本政府は、アメリカに追従してイラクに自衛隊を送り込みました。さらに武力行使に加担できる自衛隊にするために、憲法9条を変えようとする動きが急です。主要食料のほとんどを海外に依存する日本の現状が、軍事力の強化と行使を正当化する論拠に使われる危険性があります。海路確保のためです。憲法9条を守るためには、食料自給率の向上は大切な取り組みです。

また、大量の食料が海路、空路で遠隔地から運ばれるため、大量の石油エネルギーの消費を伴います。イラクへの石油依存の主張は、イラク派兵の根拠になっています。食料自給率を向上させ、食料主権を回復する道筋は憲法を守る道筋です。