幅広い層に支持される菓子産業は3兆円市場
菓子は幅広い層に消費される食品の代表格である。甘いものが欲しくなるとき、何か口さびしいとき、チョコレート、チューインガム、キャンディ、ビスケット、スナック菓子などについ手が伸びてしまうのは、何も女性や子供だけではない

ストレスがたまりやすい職場では、身体が欲するのか、男性も菓子を買う頻度が高いという。バーやスナックに行けば、間違いなくチョコレート、スナック菓子を口にせざるをえない。

嫌煙運動のあおりで、オフィスでたばこのかわりにガムやキャンディを常用する男性も少なくない。若い人が洋菓子を好み、年配者が和菓子を好むといった図式が今では必ずしも成立しない点も、菓子の幅広い消費パターンを示している。気分やTPOに応じて消費者は菓子を味わっているといえよう。

わが国の菓子市場は末端小売価格で3兆3000億円。うち、生菓子などを除く流通菓子(メーカー卸―小売の経路で流れるパッケージされた菓子)が7割を占める。全国各地に特色ある銘産があり、事業所数の多さでは1、2位を争う。

現在、最も出荷額が大きいのは和生菓子で、以下、スナック菓子、洋生菓子、ビスケット、米菓、チョコレートと続く。全体的に菓子市場は伸び悩み状態にあり、伸びているのは、従来の分類に収まらない「その他の菓子」分野である。バレンタインデーにチョコレートを贈る習慣は、日本のメーカーによって生みだされた。導入されてすでに40年以上もたつが、依然として、消費者の購買意欲をかきたてている。

工業統計や家計調査で捕捉されていないチューインガムも、業界推計では1700億円の規模に達する。眠気覚ましや虫歯予防など、機能性を付加した商品や爽快感を味わえる商品が好調な売れ行きを示す。

個々人のライフスタイルやワークスタイルが多様化するに伴い、菓子の需要も多様化していくものと予想される。そして、これまで以上に人間の五感や知性を満足きせることが菓子産業の市場及び製品化戦略となろう。


和菓子 伝統文化・風習に支えられた食を担う
和菓子の生産が本格化したのは、まんじゅう、ようかんなどの製法が中国から輸入された奈良時代だとされる。平安時代には砂糖が本格的に輸入され砂糖を使った和菓子が、鎌倉時代には茶道の発展に伴い茶菓子が登場した。

伝統菓子として長い歴史をもつ和菓子だが、戦後の洋風化の影響で洋菓子の相対的に高い成長に比べ低い成長を余儀なくされた。特に1970年以降、生産(輸出はほとんど考えられないので生産イコール国内消費)は横ばい基調に入った。70年代は外食産業が本格的な産業化段階に入り、洋風メニューを定番商品とする業態が大きな発展・成長を遂げ、外食化が食を牽引する大きなトレンドとなった時代である。いずれにせよ、洋風化が食トレンドの一大勢力となった分、和菓子にとっては向い風が強まった。

そのまま停滞基調に入るかと懸念された和菓子の生産だが、1980年頃から回復の兆しをみせ、85年以降は洋菓子の伸び率を上回る推移を示す。家計調査でみても70年代中頃から停滞気味に推移してきた和生菓子の需要は83年頃を底に復調傾向をみせ、90年代前半までは洋菓子以上の伸びを示したが、後半は一進一退の推移をみせる。

食はトレンドに敏感な分野であり、時代によって異なる趨勢を示す。反面、食は文化であり、その基本は保守にある。さまざまの目新しい動きに反応しつつ、それに疲れたとき基調にもどる。
その意味で、和菓子の生産・需要動向を規定しているのは伝統の強みである、といえよう。

和菓子の需要は地域性、季節性、儀礼との関連が強い
いずれも日本の文化・風習と密接な関連をもち、伝統文化・風習が存立する限り和菓子マーケットも一定の支持を得るものと期待される。逆にいえば、和菓子生産に携わるメーカーの日々新たな前進が日本の伝統文化・風習の時代に適応した維持・発展につながるわけだ。


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