食品製造者の法令違反とは
違反して、「ごめんなさい」ですまないのが食中毒発生とアレルゲン表示欠落です。これらは消費者の健康を害する違反です。
それ以外は基本的には謝ってすむ問題です。

食品衛生法違反……アレルゲン・食品添加物・期限表示等
自主回収でもっとも多いのが、食品衛生法違反による回収です。
義務表示対象の5アレルゲン(小麦・乳・・そば・落花生)が含まれている食品で、これらの記載が漏れてしまった場合は、公表・回収です。もし食物アレルギーのある人が「使っていないから大丈夫ね」と食べてしまったら大変です。

5アレルケンが記載漏れしていると知った場合は即、公表・回収しましょう。
なおこの場合の公表とは、該当商品を回収するために、消費者や販売者にその旨を知らせることです。

また期限表示の間違いも公表・回収です。本来の消費期限・賞味期限より間違って長く印字してしまった場合、腐敗・油の酸化などで食中毒を起こすかもしれません。

最近では賞味期限を短く印字してしまった場合も、公表・回収する場合があります。こうした場合は、表示の日付を確認して食べる人はもちろん、気にしない人でも期限日付が過ぎていることによって健康危害が起こることはないでしょう。しかし、今の世の中の風潮では、間述っているのを知りつつ公表しないわけにはいきません。

食品添加物の違反で回収する場合は2通りで、表示が漏れていた場合か、使用基準以上に食品添加物がその食品に含まれていた場合です。

使用基準以上に含まれていたというのは、通常その食品添加物量を科学的に測定しなければわからないことで、保健所などの検査で判明するケースがあります。
食品添加物の使用基準については、食品添加物を仕入れる際に、メーカーに問い合わせて、「○○に食品添加物の△△△△を使いたいんですが、何か使用上の基準・注意事項はありますか?」と確認しましょう。

稀ですが、包装の保存方法欄に「冷蔵」で保管するべきなのに「常温」と記載してしまった例もあります。これは期限内でも腐敗による食中毒が起こるかもしれませんので、回収になります。


JAS法違反…産地。原材料名の記載漏れ、表示順位の誤記等
最近は中国製の食品についていろいろ問題が伝えられたこともあり、消費者の産地表示への関心は高くなっています。産地を安全・安心のよりどころとする消費者も多いようです。

産地の表示ルールは複雑で商品品質の優劣・安心度を測る物差しとなっていますので、ルール通りに表示されていない場合は公表・回収となります。
これは品質表示基準と東京部条例で確認します。

使った原材料の名称を記載漏れした場合はどうかというと、これは判断が微妙です。あれもこれも回収では食品業者はやっていけませんので、むずかしい判断になります。
食品衛生法上の記載漏れとは異なり、健康危害のおそれがあるのかどうか、消費者に不利益があるのかどうか、が判断の基準になるでしょう。
しかし大手なら、即回収です。

では表示順位の誤記はどうか。順番の間違いを問題視されることはほとんどありません。ただし、高価な食料・高級イメージの原料の順番が本来の位置より前に記載されていれば、実際の使用比率より多く見せかけようとした、として問題視されます。

景品表示法違反……消費者に事実に反して優良と誤認される表示
誤認「させる」ではありません、「される」です。結果として誤認されれば、違反と考えるべきです。
「新鮮」という表記はダメです。鮮度の落ちた原料を使って製造加工すること自体、普通はないでしょうから。「手作り」「特選」は一般に認められる.許容される根拠を示せる場合を除き、抵触するかもしれませんので、注意が必要です。その文字に別のシールを貼って当座をしのぐという方法もあります。

計量法違反……内容量不足
内容量不足の場合は、故意に違反するということは常識的には考えられません。購入者が立腹しても回収までは要求されませんので、返金・代替品といった対応と謝罪で大方は納得してもらえるでしょう。
しかし同時に多数発生した場合は、納入先の意向も踏まえて回収の是非を判断することになります。

不正競争防止法違反……他事業者に不利益を与える表示・行為
故意に行なった違反として、もっとも社会的風当たりの強い違反です。
その顕著な例が産地偽装です。うなぎ、牛肉、あさりなど、さまざまな商品で摘発されています。

食品法違反やJAS法述反では軽いと判断された違反は、不正競争防止法違反として告発されるというのが、昨今の流行りになりつつあります。
併発されれば逮捕される可能性もあります。風評被害を招く場合も昨今の事例では増加しています。「誠実に!」としか言えません。

詐欺罪……売り先に偽りを告げ不正に利益を得る行為
これは不正競争防法違反の次に悪質と見られる行為です。取引相手に対する罪に限定されますが、お金で解決できる民事ではなく刑事事件として扱われます。これも是正については「誠実に!」としか言いようがありません。

健康増進法違反…「栄養表示の数値」が正しいか間違っているか、は通常、製造者にしかわかりません。「外部機関が適正な栄養表示を行なっているかどうか検査する」ということはほとんどありません。

しかし製造者自身、あるいは販売者が書類と照らし合わせて気づくということはあるかもしれません。間違いがあった場合には、栄養表示部分に上から正しい栄養表示のシールを貼るという方法があります。

強調表示については「高」「低」と根拠なく記載することは通常考えにくいことで、意図的な誤記載と疑われても仕方がありません。間違いに気づいた場合は、表現を削除した包装材で包装するまで、一時販売を見合わせるべきです。


傷害罪……商品が原因で心身に危害を与える(た)行為
「食品を製造する者」「販売する者」が、故意に消費者に健康危害・傷害を与えるようなことをするか、と言えば常識的にはもちろんノーです。
そんなことをする理由・メリットは常識的には思いつきません。ただし働いている人の中には労働条件に不満があったり、職場の人間関係に不満があったりということは、どこの企業にもあるでしょう。不心得なことをする人が絶対にいないとは断言できません。

最近の社会不安・凶悪事件を見るにつけ、すさんだ不安感が社会に蔓延している今では、企業側も安閑としてはいられません。
ことにきびしい経済・経営環境にある企業では、かつてのように企業に愛着・忠誠心をもたせにくい労働環境にあることは確かです。安定した雇用・安心して働ける雇用環境を企業側が提供できていない以上、故意による行為に対する懸念は払拭できないでしょう。




販売業者の法令違反とは
食品衛生法違反…不適正な温度での販売、期限切れ商品の販売等
冷蔵商品・冷凍商品が陳列中に機械故障で商品温度が上昇した場合、厳密には保存温度と異なる温度帯におかれ、商品設計上の賞味期限内でないと品質が保証できないということになりますので、食品衛生法上、問題題ではあります。したがって食品衛生法違反といわれることもありえます。

スーパーでは冷蔵ケース・冷凍ケースの横に温度を記録した表がついてあると思います。これは法的な違反を問われないためにも必要な記録です。もし販売店の温度管理が不適切で食中毒が発生した場合でも、過失責任はまず製造者にあります。食中毒がいなければ販売店での温度管理が不適切であったとしても、食味上好ましくない状態(腐敗)になるだけで、食中毒が起こることはなかった、そう判断される可能性もあります。

そうは言っても販売者の責任がまったく問われないのか、というとケースバイケースで判断されるでしょう。
冷蔵の商品をタイムセールでワゴン中に乗せて販売する場合、短時であれば問題視されませんが、商品の温度が高くなるような長時間にわたることは問題がありますので、ご注意ください。食品衛生法・JAS法上好ましいことではありません。

消費期限が切れた商品を販売することは食品衛生法違反になりますが、賞味期限が切れた商品を販売すること自体は食品衛生法違反ではありません。
ただし、賞味期限が切れた商品を、消費者が切れていることに気づかずに購入した場合、あるいは気づくようなPOP広告などをせずに陳列するのは、景品表示法上問題です。

賞味期限が切れた商品を販売することは、推奨されることではありませんが、「もったいない」ということで販売する場合は、いつまで安全上問題なく食べられるのか説明できる根拠はもつべきです。
その場合、製造者-から賞味期限決定根拠資料を取り寄せ、食味上の保証期間(賞味期限)とは別に、消費可能な根拠資料(消費限界期間)を手元にもちましょう。
「もったいない」と思う気持ちに共感しますが、行政が喜ぶことではありませんので、賞味期限切れ商品の販売はお勧めしません。


JAS法違反……生鮮食品の不適正な産地表示等
意図的に「実際と異なる産地」「根拠があいまいな産地」を表示することはJAS法違反で、一般的には不正競争防止法違反・景品表示法違反にも当たります。
逆に「高価値をイメージされる産地」を「低価値をイメージされる産地」に表示しても間違いなので、JAS法違反に当たります。ただし、高く売れるものを安く売るということを意図的に行なうことは常識的には考えにくいので、勘違い・ミスとして重い処分にはならないでしょう。このケースでは不正競争防止法違反・景品表示法違反にはなりません。

法令違反の実際と関係者への対応策
景品表示法違反……優良と消費者に誤認されるボッブ表現等
実際の商品実態より「優良と誤解される」「誤解を誘発する」表現は、景品表示違反に当たります。表示文を考えた人には悪気がなくても、
誤解・曲解される場合もあります。複数人で表現に実際より優良と誤解されるニュアンスがないか、点検することをお勧めします。不適当な表現に気づいた場合はただちに撤去してください。

計量法違反…表示と異なる数、重量での販売
「表示した数・重量」と「その実際の数」との差が、どのくらいまでなら許されるかという量が、計量法で決まっています。とはいえ、表示より実際の数、重量が多い場合には、購入者から苦情を寄せられることはないでしょう。

少ない数.重量で売ってしまった場合には、気づいた時点で購入者を特定できないなら、街頭告知し、レシートと照らして返金するということになるでしょう。

不正競争防止法違反…優良と誤認される販売方式
等級の低い肉の棚に、等級の高い肉のPOP広告を置いてしまった場合」や「昨日収穫した野菜に朝採り野菜というPOP広告を置いてしまった場合」など、間違っていたことに気づいたならば、店頭告知しレシートを確認して返金するのがよいでしょう。

詐欺罪……著しく優良と誤認させる説明・行為により販売詐欺に問われる場合は、だまそうという意図をもって他者をだましたことになりますので、悪質です。


健康増進法違反
栄養面について「高」「低」という表現を使う場合には、栄養表示基準制度に沿って基準を満たしていることが求められます。根拠なく「高」「低」と表示してしまった場合は、気づいたときにすぐ"に撤去しましよう。
ついつい使いたくなる表現だと思いますが、注意しましょう。

傷害罪
傷害罪に問われることはまずないでしょう。
昨今、商品に針を入れる事件が散発しましたが、これはその行為を行なった人が営業を妨害する偽計業務妨害の罪に問われます。また実際に購入者がケガをした場合は傷害罪に問われます。ケガをしなかったとしても傷害未遂に問われるかもしれませんし、店から損害賠償請求もされるでしょう。
こういう、人を傷つけてもかまわない、人に迷惑をかけてやろうという行為は、どんな理由があったとしても許されることではありません。

製造物責任法(PL法)上の事故
食中毒が起これば、販売業者でもこれに該当する可能性があります。
自'動車を運転中に食中毒の症状が出て、そのことが原因で運転を誤り、自動車をぶつけた。そういう場合は自動車の修理代弁済を求められるかもしれません。

特定商取引法違反(通販もやっている場合)
食品製造者の場合の特定商取り引法違反と基本的には同じです。
商品を仕入れて販売する場合、その商品の原料・レシピを製造するに比べて熟知しているとは言えませんので、勘違いから間違った表現で宣伝するケースも製造者より起こりやすくなるでしょう。
そこで「表現に間違いはないか」について製造者より注意を払いましょう。「正しい表現であったら、買わなかった」という人もいるか
もしれません。購入者に対しては、各人にお詫び文書を送り、返金しましょう。


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