スーパーマーケットの不便さを解消すコンビニエンスストア

明らかに確立した業態であるコンビニエンスストアは、どう考えたらいいでしょうか。
アメリカのコンビニエンスストアをはじめて見たとき、それが社会的にいかなる働きをしているのか、考えてみました。そのとき得た結論は、これはスーパーマーケットのつくりだした不便さを解消する機能を営んでいるということでした。

アメリカには、日本のような商店集団が(計画的につくられたショッピング・センターを除くと)ほとんどありません。パパママストアの数が日米で大違いなのでしょう。一方、スーパーマーケットは、大発展をとげています。

スーパーマーケットは、内食材料提供業ですから、それにふさわしい売り場面積を有し、それにふさわしい立地条件の場所に店を構えています。営業時間も、内食材料を求める消費者の都合にあわせていますから、例外は別として、10時から19時というぐらいの時間帯になっています。

アメリカの場合、特に10年ぐらい前までは、日曜に店を閉めているスーパーマーケットもたくさんありました。もし、何かの事情で急な買い物の必要が生じたり、もともと買い物にあまり時間を割きたくない人の場合、このような買い物環境は、まことに不便極まりないのです。

切れてしまった蛍光灯ひとつを買いに行くのに、車でわざわざ遠いスーパーマーケットに行かなければなりませんし、その店は蛍光灯ひとつの買い物のためには、大き過ぎます。内食材料を買いに来た消費者が、ところを得たとばかりにゆうゆうと買い物するなかを擦り抜けて、たった一品目を選ばなければならないのです。

しかし、スーパーマーケットが店を開いているときは、まだましです。スーパーマーケットが店を閉めているときに、ちょっとした買い物をする必要が生じたときには、本当に困ってしまいます。地域によっては、店のまったくないところさえあります。スーパーマーケットがつくり出したこの不便さを解消する店こそ、コンビニエンスストアです。そのネーミング、つまり便利店とは、よくも名付けたものです。

コンビニエンスストアが日本で発展するかどうか、40年代の中ごろ、この概念が輸入された当初、非常に難しいのではないかと思いました。上記のような事情が日本には、アメリカに比べれば存在していないといってもよいような状況だったからです。大多数の人びとが同じような意見だったでしょう。しかし、その後セブンイレブンが成しとげたことは、大方の予測とは、非常に異なるものでした。

いったい、どうしてそういうことになったのかを考えておくことは、小売業の業態というものを理解する上で役立つはずです。たしかに、日本でも、スーパーマーケットやビッグストアが大発展をとげ、40年代を通じて、大型店が、小回りのきく買い物には、不便な条件をつくり出すという点で、急速にアメリカに近い環境が整いつつありました。しかし、日本には、アメリカにはない膨大な数のパパママストアがあり、なかでも、酒屋、乾物屋などは、営業時間も長く、それらが全体としてコンビニエンスストアの機能を果たすのではないかと思われました。

ところが、コンビニエンスストアは、これらの店の存在にもかかわらず、大成長をとげました。フランチャイズ方式による展開という優れた経営戦略の成功が、大きな要因だったと思いますが、ワンストップ・ショッピングを取り入れた完成された業態店であるコンビニエンスストアが、社会的機能の達成度合いという点で、伝統的な業種店をはるかに凌駕していたことに、基本的原因があったといえましょう。

小売業の発展というものは、チャネル・チェンジの形で行なわれる場合が多いのですが、元から存在していた業種店の数が多ければ多いほど後から出現した優れた機能を果たす業態店の発展スピードは、早くなるということなのでしょう。

コンビニエンスストアの社会的機能は、ちょっと買い屋です。ちょっとそこまで行って急場の間に合わせができる、あるいは、学生や単身者で買い物に多くの時間を割きたくない人びとのちょっとした買い物の店です。『開いててよかった』というセブンイレブンのコピーは、じつに巧みにその本質を表現しているといえるでしょう。


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